とおかで何読んだ?

ふつうの読者を目指す weblog

書くために読む話

ひと月以上更新が停止してしまった。入稿期限が差し迫っていたからだが、読みたいと思って読んだ本は殆どない。ただ、小説が書けなくなったときに、谷崎潤一郎『細雪』と中井英夫『とらんぷ譚』、それから津島佑子『光の領分』をひたすら読んでいた。この三…

思考の記憶、記憶の思考

前回は中途までしか読んでいなかった、熊野純彦『レヴィナス入門』を読了した。しかし、『存在するとは別のしかたで』についての章に入ってからは、議論の勘所をつかむことすらおぼつかなくなってしまった。合田正人『レヴィナス──存在の革命へ向けて』を買…

体験と言葉とのはざまで

前回挙げた本のうちで読了したものは一冊もない。自主ゼミでは雪江明彦『代数学1──群論入門』をほぼ読み終えるなどの成果はあったが、なかなかまとまった読書時間が確保できなかった。『カント──美と倫理とのはざまで』のあとがきで「すくなからぬ日々の用務…

読書と文体

またずいぶんと本を売って処分してきた。数冊新しく買ったが、本は減りつづけている。ビブリオフィリアの気はあったが、何度も読み返すものや資料として使うものを持ってさえいればよいのではないか、といまでは思うようになった。再読したくなる本にはなか…

新たなコードとの邂逅

連休はあったものの、主に精神的なつかれがたまっていたらしく、近所で服を買うなど卑近な用事を済ませるのがせいぜいだった。本来ならば街に出て映画を観るなりゆっくり本を買うなりしたかったのだが、なかなかうまくいかなかった。とはいえ、一冊の本をほ…

あこがれること

新しく出た本を積極的に買うという態度をひさしく採っていない。わたしは読むのがあまり速くないし、同じ本を何度も読むという習慣のせいでもある。とはいえ、何かを諳んじるほど読みかえしたことは、所属が変わってからあったかどうか。 書店で興味をひかれ…

気楽な読者

……思案なんかいっさいやめにして まっしぐらに一緒に世間へ飛び出しましょう、 あえて言いますがね、冥想なんかするやつは、 枯れた草はらのうえを悪魔にとりつかれて、 ぐるぐる引きまわされる動物みたいなものです、 そのまわりには美しい緑の牧場があるの…